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トラックドライバーAKIRA

トラックドライバーAKIRA 第31話

 

はっ・・・・破門(はもん)!?

 

運行:「己(おのれ)の心に向き合うことから逃げたか・・・。無理もない・・・。」

 

運行:「奴(きゃつ)にとって独立起業とはその程度のものだったのかもしれん。」

 

 

<ガサッ。>

 

運行:「ん?」くるっ。

 

 

はっ・・・・はうあ!!!!

 

 

 

Aッ、、、AKIRA・・・・!?!?

 

運行:(なっ、なんじゃ・・・・何が起きたのじゃ・・・。)

 

運行:(あの悟った顔・・・周りの動物たち・・・・)

 

運行:(かなりの荒行だったはずじゃが、つやつやじゃ・・・)

 

運行:(こいつ・・・・まさか真理(しんり)を・・・?)

 

 

お、おいAKIRA・・・。

 

 

AKIRA:「ん?・・・ああ、お師匠様でしたか」

 

運行:「も、門がうち破かれていたのじゃが・・・・。」

 

AKIRA:「ああ、あの門ですか。ちょうど、7日間と15分経ったものですから、つい先ほど破壊させていただきました。トラックドライバーたるもの、時間厳守ですもんね・・。」

 

運行:「う、、、うむ。そうじゃったな。スマン(コイツ、雰囲気変わったか・・?)」

 

運行:(もしかして、こやつ、ワシの予想をはるかに超える作品を生み出しているかもしれん・・・。)

 

 

運行:「し、、して、AKIRAよ。”答え”は見つかったか?」

 

AKIRA:「答えとは??」

 

運行:「じらすな。木彫りのことじゃ。」

 

AKIRA:「ああ、あの丸太ですか。それでしたら、山の動物たちの・・・・・

 

運行:(ゴクッ。)

 

 

 

 

 

運行:「ドヒーーーーーーーーーーー!!」ズルッ!

 

運行:「アホーーーー!!何て事しとるんじゃ~!!!!」

 

AKIRA:「山のものを、山に還(かえ)しただけなのですが・・・・。」

 

運行:「なっ・・・何言ってやがる!アホ―!!破門じゃー!!!」

 

 

AKIRA:「ご安心めされ師匠。私の”作品”はこちらです」

 

運行:「!?」

 

は、はうあっ?!

 

 

AKIRA:「全身全霊を込めて作った、木(キ)ーホルダーです。

 

運行:「な、、、なにィ!(・・・・ちっさ?!)」

 

運行:「小さな、、、トラックの、、、キーホルダー・・・?」

 

AKIRA:「はい。木ーホルダーです。」

 

AKIRA:「洞窟の中で、オレは自分自身の小ささに気づきました。」

 

運行:「ふ・・・・ふむ」

 

AKIRA:「つらいことから逃げ出したい・・・将来のことは考えたくない・・・」

 

AKIRA:「一人では何もできない・・・だから今のままでいいや・・・・・・そんな自分です。」

 

運行:「う・・・・うむ。」

 

AKIRA:「そんな自分では、どうしたって満腹さんや伝九郎さんのようなモノはつくれない・・・そう思いました」

 

 

だけど、オレだって流されてばっかりじゃない。

小さいかもしれないけど、夢だってあります。

 

今、立派なモノをつくれなくたって、

 

自分が出来ることから、

小さいことからコツコツと積み重ねていけば・・・

 

もしかしたら、自分の納得する生き方にたどり着けるんじゃないか・・・・

・・・自分の弱さ・・・心・・・そして夢・・・

 

全て表現したのがこの「木ーホルダー」です。

 

 

運行:「・・・・・・・。」

 

 

運行(むう・・・・正直、ヘタクソじゃ・・・。ヘタクソじゃが・・・コイツの澄んだ瞳、堂々とした態度・・・そしてこの穏やかさ・・・その中に隠された熱意・・・・・。)

 

 

運行:「・・・当たり前のことを当たり前にやるのはムズカシイ。これからお主にはさらなる試練が待ち受けているであろう。」

 

 

運行:「しかし、お前なら、周りの人間を笑顔にしながら、成し遂げられるかもしれんな。」

 

 

・・・。

 

 

合格!!!

 

合格じゃあ!!!!

 

 

 

第32話へ続く