はっ・・・・破門(はもん)!?
運行:「己(おのれ)の心に向き合うことから逃げたか・・・。無理もない・・・。」
運行:「奴(きゃつ)にとって独立起業とはその程度のものだったのかもしれん。」
<ガサッ。>
運行:「ん?」くるっ。
はっ・・・・はうあ!!!!
Aッ、、、AKIRA・・・・!?!?
運行:(なっ、なんじゃ・・・・何が起きたのじゃ・・・。)
運行:(あの悟った顔・・・周りの動物たち・・・・)
運行:(かなりの荒行だったはずじゃが、つやつやじゃ・・・)
運行:(こいつ・・・・まさか真理(しんり)を・・・?)
お、おいAKIRA・・・。
AKIRA:「ん?・・・ああ、お師匠様でしたか」
運行:「も、門がうち破かれていたのじゃが・・・・。」
AKIRA:「ああ、あの門ですか。ちょうど、7日間と15分経ったものですから、つい先ほど破壊させていただきました。トラックドライバーたるもの、時間厳守ですもんね・・。」
運行:「う、、、うむ。そうじゃったな。スマン(コイツ、雰囲気変わったか・・?)」
運行:(もしかして、こやつ、ワシの予想をはるかに超える作品を生み出しているかもしれん・・・。)
運行:「し、、して、AKIRAよ。”答え”は見つかったか?」
AKIRA:「答えとは??」
運行:「じらすな。木彫りのことじゃ。」
AKIRA:「ああ、あの丸太ですか。それでしたら、山の動物たちの・・・・・」
運行:(ゴクッ。)
運行:「ドヒーーーーーーーーーーー!!」ズルッ!
運行:「アホーーーー!!何て事しとるんじゃ~!!!!」
AKIRA:「山のものを、山に還(かえ)しただけなのですが・・・・。」
運行:「なっ・・・何言ってやがる!アホ―!!破門じゃー!!!」
AKIRA:「ご安心めされ師匠。私の”作品”はこちらです」
運行:「!?」
は、はうあっ?!
AKIRA:「全身全霊を込めて作った、木(キ)ーホルダーです。」
運行:「な、、、なにィ!(・・・・ちっさ?!)」
運行:「小さな、、、トラックの、、、キーホルダー・・・?」
AKIRA:「はい。木ーホルダーです。」
AKIRA:「洞窟の中で、オレは自分自身の小ささに気づきました。」
運行:「ふ・・・・ふむ」
AKIRA:「つらいことから逃げ出したい・・・将来のことは考えたくない・・・」
AKIRA:「一人では何もできない・・・だから今のままでいいや・・・・・・そんな自分です。」
運行:「う・・・・うむ。」
AKIRA:「そんな自分では、どうしたって満腹さんや伝九郎さんのようなモノはつくれない・・・そう思いました」
だけど、オレだって流されてばっかりじゃない。
小さいかもしれないけど、夢だってあります。
今、立派なモノをつくれなくたって、
自分が出来ることから、
小さいことからコツコツと積み重ねていけば・・・
もしかしたら、自分の納得する生き方にたどり着けるんじゃないか・・・・
・・・自分の弱さ・・・心・・・そして夢・・・
全て表現したのがこの「木ーホルダー」です。
運行:「・・・・・・・。」
運行(むう・・・・正直、ヘタクソじゃ・・・。ヘタクソじゃが・・・コイツの澄んだ瞳、堂々とした態度・・・そしてこの穏やかさ・・・その中に隠された熱意・・・・・。)
運行:「・・・当たり前のことを当たり前にやるのはムズカシイ。これからお主にはさらなる試練が待ち受けているであろう。」
運行:「しかし、お前なら、周りの人間を笑顔にしながら、成し遂げられるかもしれんな。」
・・・。
合格!!!
合格じゃあ!!!!
第32話へ続く