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トラックドライバーAKIRA

トラックドライバーAKIRA 第47話

海空:「それでは、輪読(りんどく)はじめ。そこのハンバーグ頭から読めい。」

 

珍一:「は、ハンバーグ?僕でしょうか」

 

 

海空:「うん。お前しかいないだろ。どう見ても。」

 

しーん。(雑だなぁ・・。)

 

 

 

珍一:「えっと、トラック方丈記第1章・・・コホン。」

 

珍一:「ゆく路(みち)の流れは絶えずして、しかも元のトラックにあらず。よどみに浮かぶ貨物は、かつ消えかつ結びて、久しくとどまることなし。世の中にあるドライバーと運送会社と、またかくのごとし。」

 

 

海空:「はいストップ。ハンバーグ君、どうですか?」

 

珍一:「?・・・はあ・・・?」

 

海空:「アホ。はぁ・・?じゃないわ、どう感じたか訊いたんじゃ」

 

珍一:「えっと・・・なんか流れてる感じはしましたけど・・・」

 

海空:「うむ。その通りじゃ。この一節はトラック物流の現状を表しておる。2018年の全日本トラック協会の資料によると、トラック物流の規模は、いまや年間48億トン、約15兆円の市場となっている。物が流れると書いて物流と読むが、文字通り毎日膨大な数の貨物が日本国中の路(みち)の上を流れているのじゃ。」

 

三人:「はぁ・・・(じゃあそう書けよ・・・)」

 

 

海空:「そして、その荷物を運んでいるのがお主ら、トラックドライバーじゃな。・・・トラックドライバーは現在、83万人いるといわれておる。」

 

水木:「83万人・・・・結構いるんですね?」

 

 

海空:「数字だけ見ると結構いそうだが、どこもかしこもドライバー不足と言われているじゃろ。」

 

AKIRA:「うん、、うちのピロピロ運送も年がら年中求人出してるな。」

 

 

海空:「トラックドライバーという職業は、働く時間は長いが、給料は全業種の中でも低い。いろんなプレッシャーも増えてきた。昔と比べ魅力のある職業じゃなくなってきたんじゃ。若いドライバーも定着せず、どこかに流れてしまう。・・・今や、運送会社の”人手不足倒産”は、社会問題の一つにもなっておるのじゃ。」

 

珍一:「人が足りなくて仕事が回らないってことか・・・」

 

海空:「路(みち)の流れ、人(ドライバー)の流れだけではなく、仕事の流れに目を移すと、トラック業界の多重構造問題もあるな。いわゆる下請け仕事じゃ。大手の元請業者による、下請けへの運送再委託のことじゃ。二次受け、三次受け・・・下層になればなるほど、厳しい条件の仕事であるのは明白じゃ。」

 

水木:「赤字だけど、何もしないよりはマシ、ってことで仕事取っちゃったりするもんね。」

 

珍一:「なんか、お先真っ暗感しかしないなぁ・・・」

 

海空:「しかしじゃ。トラックの荷台に着目してみると、積載率はだいたい40%前後である。つまり荷台の半分以上(6割)が空いている、ということじゃ。」

 

珍一:「えっ・・・そんなに空いているの?」

 

 

海空:「ここで、本当に運送会社は稼げないのか?本当に人手が足らないのか?という問いが生まれてくる。」

 

 

AKIRA:「じゃ、じゃあ、これから起業するドライバーたちは、どうすればいいんですか?どんな会社を作れば?」

 

海空:「・・・どうすればよいと、”答え”を求めるのじゃな?」

 

 

AKIRA:「(・・・ん?)は、はい・・・」

 

「人は”答え”を持つと奴隷(ドレイ)になり、”問い”を持つと自由になる!!答えを求めるなぁっ!」バンッ!!

 

三人:「ひっ!?

 

海空:「人に答えを与えられると、その場では楽かもしれんが、いつの間にか”問い”を忘れてしまうのじゃ。自由になりたかったら”問い”を持ちつづけることじゃ。自分の頭で考えよ。これが”トラック方丈記”で伝えたいことじゃ。」

 

AKIRA:「・・・・。(ならそう書いてほしい・・)」

 

海空:「そもそも、答えを知っとったら、こんなところで講師なんかしとるか!今頃成功して、がっつり稼いで、アイドルと付き合っておるわい。」

 

AKIRA:「はぁ・・・・。(このぼーず、邪念多いな・・・・・)」

 

つづく