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トラックドライバーAKIRA

トラックドライバーAKIRA 第41話

ザッザッザッ・・・。

 

三人:「ハア・・ハァ・・・。」

 

珍:「もう少しスピードを上げて。急ぎなさい。」キリッ。

 

劉:「こいつ、車(牛)に乗ると人格変わるんだよ。」

 

AKIRA:「分かれ道・・・。」

 

珍:「こっちです。」サッ。

 

AKIRA:(よく道がわかるな・・・・)

 

劉:「すごいだろ?珍はこのへん一帯の山、道、木の一本一本隅々まで覚えてるんだ。」

 

水木:「えっ?!」

 

劉:「6歳の時から、珍は配車係として働いていたんだ。今は完全に”配車モード”だよ。」

劉:「珍は戦場を”盤面(ばんめん)”として捉えている。何千・何万通りのルートから、最適な道を選んでいるんだ。長年の配車業務で培ってきた経験とカンがなせる技さ。もちろん、敵の動きもすべて計算ずみだ。」

 

珍:「ここを抜ければ安全地帯だ。急ぐのだ。」

 

AKIRA:「ハァハァ・・・・。そ、そんなこといっても」

 

水木:「僕も珍さんに賛成だな。早いとこ抜けましょう」

 

AKIRA:(お前は歩いてねーじゃねーか!)

 

劉:「しっ!・・・何か聞こえないか・・?

 

・・・・?。

 

珍:「この足音・・気配・・・敵だ!隠れよ!」

 

AKIRA:「えっ?!」

 

 

AKIRA:「て、敵・・・かわしてるんじゃないのかよ?!」

 

珍:「予想外の出来事です。再ルートを計算します・・・。」

 

珍:((なぜ、こんな後方に敵の姿が・・・?もしかして・・・・))

 

 

 

~そのころ、敵陣~

<金国 野営地>

 

<金国 五千人将 剛毛(ごうもう)>

 

剛毛:「そろそろか・・・・。」

 

バサッ。

<剛毛隊 軍師 孔明(こーめー)>

 

孔明:「奇襲作成についてのご報告です。」

 

剛毛:「うむ。密かに出撃した別部隊が、補給部隊をつぶす作戦よ。」

 

剛毛:「して、どうだ、首尾(しゅび)は。」

 

孔明:「・・・は!作戦はうまくいっております。ほぼ成功といっても過言ではありません!」

 

剛毛:「成功したのか?」

 

孔明:「・・・は!ほぼ八割方成功しております!」

 

剛毛:「・・・ん?ということは、まだ成功していないんだな?」

 

孔明:「・・・は!ほぼほぼ成功しておりまして、あとは補給部隊を補足し、攻撃するのみとなります!」

 

剛毛:「(イラッ!)・・・じゃあ、その補給部隊は補足したんだな?」

 

孔明:「・・・は!いえ、補足はしていませんが、進捗としては補足と攻撃を残すのみとなります」

 

剛毛:「(イラッ!)・・・じゃあ、まだ成功してないってことだな?補足もしてねーんだな?失敗ってことか?」

 

孔明:「・・・は!・・・・・・・」

 

剛毛:「どうしたっ!!成功したのかしてねーのか!!」

 

ズルッ。

 

孔明:「ブッ?!

 

剛毛:「答えろ!」

 

孔明:((や・・・やばい・・・。剛毛軍の掟・・・・剛毛さまの”御頭具”を指摘した者、極刑に処す・・・どうしよう・・・))

 

剛毛:「どっちじゃー!!はっきり言いさらせー!!!

 

パカッ。

 

孔明:((ひーー!!))

 

孔明:「・・・申し訳ありません!まだです!成功してません!!!」

 

剛毛:「そうじゃろ!!そんな事かと思ったわ!!最初からそうやって言え!!」

 

剛毛:「お前らじゃラチがあかん!ワシが直々に出る!!」

 

スポッ。

 

孔明:((ほっ・・・・!))

 

剛毛:「ほっとしてんじゃねーー!!」

 

パカッ。

 

孔明:((ぎゃーーー!!!))

 

 

 

剛毛:「出陣じゃあ!!!」

 

 

 

~そのころ~

珍:(先ほどの部隊・・・やはりおかしい・・・。)

 

ぴたっ。

 

劉:「・・・お、おい、珍どうした?」

 

珍:「引き返しましょう。金軍が、我々をたたくために部隊を出している可能性があります。そうなった以上、安全なルートは見つかりません。今回は諦めましょう。」

 

AKIRA:「え・・・?部隊・・・?」

 

水木:「そ、そんな!・・・珍さんの言う通り、今日は諦め・・・」

 

劉:「・・・いや、」

劉:「それはできねえ。」

 

珍:「へ?な・・・なぜです・・・?」

 

劉:「それは俺らが運送屋だからだ。

 

珍:「・・・・・。」

 

劉:「俺ら運送屋はモノを届けてお金をもらう。疲れてようが、眠かろうが、お客には関係ねぇ。大変な仕事だ。だがな・・・そんな大変な仕事でも、たった一つ光るものがあんだ。それは、お客との信用だ。俺たち運送屋が1つ運ぶごとに、信用が1つ増えるんだ。お客はその荷物をまた別のお客に渡して、信用が1つ増える。・・・うまく言えねぇが、そういうこった。」

 

劉:「だからよ・・・俺ら運送屋は・・・」

劉:「未配(みはい)は許されねんだっ!!」

 

・・・・・。

 

AKIRA:(こ・・・この流れは・・・・)

 

劉:「わりい、珍・・・・もう一回、配車・・・組みなおしてくれるか・・・?

 

珍:「兄さん・・・

 

AKIRA:(いやいやいや・・・・)

 

第42話へつづく